非喫煙者ではアルコールの摂取と肺がんのリスクに関連性はない
2011年4月4日
アルコール摂取が肺がんの独立した危険因子であるかどうかについては議論の余地があるが、今回、イタリアのグループから、非喫煙者におけるアルコール摂取と肺がんのリスクとの関連性を定量的に評価したメタ解析の結果が報告された(Ann Oncol. 2011 Mar 22. [Epub ahead of print])。Medlineで文献検索を行い、非喫煙者におけるアルコール摂取と肺がんのリスクとの関連性を報告した2010年1月までのすべての症例対照研究とコホート研究を抽出し、そこから文献10報、1,913例の非喫煙肺がん患者を選択し検討したものである。その結果、飲酒者の非飲酒者に対するランダム効果モデルのプール化補正相対リスクは1.21(95% CI 0.95~1.55)であった。また、外れ値を示した1つの研究を除外した場合は1.05(95% CI 0.89~1.23)であった。本調査結果から、アルコール摂取と非喫煙者の肺がんリスクを関連付けることはできず、喫煙とアルコールの相乗効果は無視できないとしても、アルコールは肺がん発症の独立因子ではないことが示唆された。
医学ライター・田村敏彦