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学会レポート 世界各国の学会で発表された医療情報を掲載しています。

海外[IEC 2017]第32回国際てんかん学会

2017年9月2日~6日 Barcelona

無酸素状態後の超難治性てんかん重積状態に対するペランパネル経口負荷投与の有効性及び安全性 ―症例シリーズ報告―

Efficacy and safety of perampanel orally loading in post-anoxic super-refractory status epilepticus. A case series.
Simone Beretta氏
University of Milan , Italy

超難治性(super-refractory)非けいれん性てんかん重積状態(NCSE)は、心停止に続く無酸素状態後の脳障害を伴う患者の20~25%に発症するが、良好な予後指標を有する患者集団では良好な神経学的転帰に至る可能性が指摘されている。イタリア・University of MilanのSimone Beretta氏は、無酸素状態後の超難治性NCSE患者に対してペランパネルを経口負荷投与にて追加併用した際の、急性期脳波図(EEG)変化、神経学的転帰及び有害事象を解析し、その結果を報告した。

経鼻胃チューブを介したペランパネルの経口負荷投与により治療した無酸素状態後の超難治性NCSE患者8例を対象として検討した。NCSEを脱する72時間以内に抗てんかん療法としてペランパネルを最後に投与し、かつ投与に際して他の併用薬を変更しなかった患者を評価の対象とした。

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てんかん重積状態の治療におけるラコサミドの使用経験

The experience of Lacosamide use in Status Epilepticus treatment.
Giovannini G氏
University of Modena and Reggio Emilia, Italy

てんかん重積状態(SE)は、非常に短期間で罹患率と死亡率(5~46%)が決定する日常的な神経救急であり、早期に診断し治療することが重要である。一方、この10年間に登場した新規抗てんかん薬は慢性てんかんを適応として承認されてきたが、臨床診療の場では群発発作の急性管理やSEに対しても使用されており、なかでもラコサミドはセカンドライン治療薬として徐々に重要な役割を担ってきた。イタリア・University of Modena and Reggio EmiliaのGiovannini G氏は、成人established SE患者に対するラコサミドの有効性及び安全性について報告した。

2013年9月1日から2017年6月30日までに、イタリア・モデナ地域における神経疾患の地域センター(Ospedale Civile Sant'Agostino Estense)に搬送された成人established SE患者(14歳以上)のデータを前向きに連続して収集した。

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RUFIPRAT:難治性てんかん小児患者に対するルフィナミドの日常臨床使用における後向き研究

RUFIPRAT:A retrospective study on the everyday clinical use of Rufinamide in children with refractory epilepsy.
Clara Milleret氏
University Hospital of Lyon, France

ルフィナミドはLennox-Gastaut症候群に対する追加併用療法に適応を有する薬剤であるが、極めて難治性の成人及び小児てんかん患者に対して適応外で使用されることもある。フランス・University Hospital of LyonのClara Milleret氏は、フランスの小児神経内科医が日常臨床現場において使用したルフィナミドの有効性及び忍容性を後向きに評価した成績を報告した。

2010年1月から2015年12月までに大学病院6施設においてルフィナミドで治療し、12ヵ月間以上の追跡が可能であった4歳以上のてんかん患者を各施設の責任医師が抽出・集積して解析した。

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低侵襲性てんかん手術は、何が新しく、何を我々は学んだか
Minimally invasive epilepsy surgery whats new and what have we learned

Mathern GW (Departments of Neurosurgery and Psychiatry&BioBehavioral Sciences,David Geffen School of Medicine,University of California,Los Angeles,CA United States;The Brain Research Institule,and The Intellectual and Developmental Disabilities Research Center,University of California,Los Angeles,USA)

てんかんの外科手術の歴史

 内側側頭葉てんかんのほとんどは薬剤抵抗性であり、外科手術が検討される。 初期の側頭葉てんかんの手術は、en bl oc切除であった。 これは、前側頭葉を最大で6.5cm切除して内側構造に到達し、海馬や扁桃体を切除する術式である。
 1960年代には、深部電極を用いた研究によって、側頭葉てんかんの多くは内側構造に原因があることが明らかとなった。 さらに、切除標本の病理学的検査で、海馬硬化とてんかん発生の関連も明らかになった。

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てんかん患児の母親における育児ストレスとスティグマ
Parenting stress and stigma in mothers of young children with epilepsy

Reilly C (Yong Epilepsy,Lingfield,Surrey RH7 6PW,UK)

育児ストレスがスティグマに及ぼす影響

〈背景〉 小児てんかんは発作の治療が容易ではなく、知的障害、自閉症、記憶障害などの神経行動障害を併発し、学校生活や学業に支障を生じる患児も少なくない。 さらに、小児てんかんは、家族、特に母親にも大きな影響を及ぼすことが知られている。 うつ病、不安、睡眠障害や疲労のリスクであり、また、育児ストレスとスティグマを生むおそれがある。

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てんかんにおける神経炎症
Neuroinflammation in epilepsy

Vezzani A (Department of Neuroscience,Mario Negri Institute for Pharmacological Research,Milano,Italy)

てんかんによる神経炎症

 てんかんモデルを用いた検討では、グリア細胞の活性化と、てんかん発作の頻度1)やてんかんの増悪2)との関連が示されており、また星状膠細胞の活性化は周辺の神経細胞の興奮を誘発し3)、てんかんの再発性発作の原因となることも示されている。

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急性虚血性脳卒中に対する血栓溶解後の早期けいれん発作の影響: ENCHANTED試験
Impact of early seizures after thrombolysis for acute ischaemic stroke: ENCHANTED trial

Zu Y (The George Institute for Global Health,Faculty of Medicine,University of New South Wales,Camperdown,Australia)

急性虚血性脳卒中患者におけるプロスぺクティブ試験

〈背景〉 急性虚血性脳卒中患者3,310例を登録した国際多施設ランダム化比較試験( E N C H A N T E D 試験)では、低用量(0.6mg/kg)の血栓溶解薬アルテプラーゼ投与が、標準用量(0.9mg/kg)投与に対して主要な身体障害および死亡に関して非劣性を認めず、脳内出血の発生が少ないことが報告されている1)。 本研究ではENCHANTED試験の一環として、アルテプラーゼを静注投与した急性虚血性脳卒中患者における早期けいれん発作の発生率とその予測因子、およびけいれん発作の発生と90日後の転帰の関連を検討した。

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てんかん治療におけるプレシジョン・メディシン:何がプレシジョン・メディシンで、何がプレシジョン・メディシンではないのか?
Precision medicine in epilepsy: what it is and what it isn’t?

Wiebe S (O’Brien Institute for Public Health,University of Calgary,Calgary,Canada)

プレシジョン・メディシンを取り巻く状況

 米国疾病対策センターは、「プレシジョン・メディシンとは、各人の遺伝子、行動、環境を考慮して健康を守り、疾患を治療する取り組みである。 治療はすべての人に同じことを一律に行うのではなく、個人 または集団に合わせて行う」と定義している。

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プレシジョン・メディシンにおける幹細胞の可能性
The potential of stem cells in precision medicine

Hirose S,et al. (Research Institute for the Molecular Pathomechanisms of Epilepsy,Fukuoka University,Fukuoka,Japan)

iPS細胞を用いた病態解明や新薬開発への期待

 幹細胞の1つである人工多能性幹細胞(iPS細胞)は、皮膚などから採取した細胞に、細胞の初期化を誘導する4つの遺伝子を導入することで作成できる。 iPS細胞は任意の細胞へと分化誘導できるため、再生医療への応用のみならず、病態解明や新薬開発のモデル実験系の利用へとして大きな期待が寄せられている。 その例として、我々が進めているiPS細胞を用いたDravet症候群の病態解明の研究を紹介する。

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