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学会レポート 世界各国の学会で発表された医療情報を掲載しています。

海外[ASH 2011] 米国血液学会

2011年12月8日~13日 San Diego U.S.A.

慢性リンパ性白血病、小リンパ球性リンパ腫に対するBtk阻害剤の効果

Susan O'Brien氏ほか
Department of Leukemia, University of Texas M.D. Anderson Cancer Center, Houston, TX, USA

米国のO'Brien氏らは、ブルトン型チロシンキナーゼ(Btk)を選択的に阻害する経口薬PCI-32765を用いた現在進行中の多施設フェーズIb/II試験の長期フォローアップに関する解析結果を発表し、PCI-32765が再発または難治性の慢性リンパ性白血病(CLL)や小リンパ球性リンパ腫(SLL)に対して、高い効果をもつ可能性があることを示した。

PCI-32765は、B細胞抗原受容体(BCR)シグナル伝達経路を構成する重要な要素であるBtkを阻害する。BCRシグナル伝達経路は、腫瘍の拡大と増殖に必要とされる重要な経路であり、PCI-32765は、このBCRシグナル伝達経路をブロックして細胞のアポトーシスを誘導し抗腫瘍作用を発揮する。

試験の対象患者は61例(420 mg/日群[低用量群]:27例、840 mg/日群[高用量群]:34例)で、28日を1サイクルとして、病状進行(PD)までPCI-32765を投与した。患者の年齢中央値は64歳、ECOGのPerformance Status(PS)は60%がPS 1/2、40%がPS 0であった。

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発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)におけるin vitro長期骨髄細胞培養モデル:PNH細胞のクローン拡大に対する骨髄内T細胞の直接作用

Richard J. Kelly 氏ほか
Department of Leukemia, University of Texas M.D. Anderson Cancer Center, Houston, TX, USA

発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)は、PIG-A遺伝子に後天的変異を持った造血幹細胞がクローン性に拡大した結果、補体による血管内溶血を主徴とする造血幹細胞疾患である。そのため、PNH患者ではGPIアンカー型蛋白の血球での欠損もしくは発現低下が認められる。PNHクローン拡大の原因は、まずPIG-A遺伝子変異が挙げられるものの、この変異は健常者でも認められることから、PIG-A遺伝子変異だけではクローン拡大を説明するには不十分と考えられている。本試験は、微少PNHクローンが多くの再生不良性貧血(AA)や一部の骨髄異形成症候群(MDS)に見いだされることから、免疫系を介した骨髄不全がPNHクローン拡大に大きく関与しているという仮説のもと開始された。

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発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)発症機序の新たな概念:病理的PNH造血幹前駆細胞(HSPCs)は、接着不良、遊走性の亢進により運動性が高まり、正常HSPCsを造血幹細胞ニッチから駆逐するか?

Janina Ratajczak氏ほか
Stem Cell Institute, James Graham Brown Cancer Center at University of Louisville, KY, USA

発作性夜間ヘモグロビン尿症 (PNH) は、Glycosylphosphatidylinositol (GPI) アンカーの生合成に関与するPIG-A遺伝子に後天的に変異が生じた造血幹細胞がクローン性に拡大することにより発症する。しかしながら、そのメカニズムは現在まで十分には解明されておらず、GPIアンカーは補体制御因子などのGPI結合型蛋白質の細胞膜表面への発現だけでなく、脂質ラフトの形成にも関与している。

Ratajczak氏らはこれまでに、a-chemokine stromal derived factor-1(SDF-1)を介して造血幹前駆細胞 (HSPCs) の移動を調節しているCXCR4受容体や脂質ラフトにも関与していることを報告した。さらに、HSPCsの骨髄から末梢血への動員を誘導する主たる化学物質であるSphingosine-1 phosphate (S1P) が、補体介在性の血管内溶血時に赤血球から放出されることを最近報告した。これらの事実にもとづいて、本試験では脂質ラフトの形成不全によるHSPCsの骨髄微小環境における接着不全ならびに、PIG-A欠損赤血球の補体活性化に対する感受性亢進による溶血により増加したS1Pによって、HSPCsが末梢血に持続的に動員されている可能性について検討した。

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小児患者における発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の臨床的特性:成人PNH患者との比較(国際PNHレジストリ試験)

Alvaro Urbano-Ispizua氏ほか
Hematology, Hospital Clinic, IDIPAS, Barcelona, Spain

Alvaro Urbano-Ispizua氏らは、5大陸、21ヵ国、204施設を対象とした国際PNHレジストリのデータを用いた、成人PNHと小児PNHの臨床的特性の比較試験の結果を発表し、骨髄不全疾患の頻度に有意な差が認められなかったことを報告した。一方で、成人PNHに比べ、小児PNHでも疾病負担は大きく、血栓塞栓症発症リスクは一般小児に比べ有意に高いことを示した。

2011年9月30日現在、プロスペクティブ多施設多国籍観察試験(5大陸、21ヵ国、204施設)に登録されたPNH患者1,267例のうち、顆粒球のクローンサイズ≧30%の患者で、生年月日、性別、PNH発症日時、登録日、血栓塞栓症の既往に関する正確な情報のある患者を対象に、診断時の年齢18歳未満(小児)、18歳以上(成人)の2群に分けて解析した。最終解析対象は、551例(小児56例、成人495例)となった。

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発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の小児・青年期患者におけるエクリズマブの有効性と安全性

Ulrike M. Reiss氏ら
Department of Hematology, St Jude Children’s Research Hospital, Memphis, TN, USA

発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)は、骨髄不全による血球減少、溶血による血栓塞栓症、多臓器障害(肺高血圧症、慢性腎臓病など)など死因となる症状に加え、倦怠感、息切れ、勃起不全、腹痛などQOLを著しく損なう症状が発現する。終末補体阻害薬エクリズマブは、血管内溶血を抑制することによりこれらの症状を改善することが、これまでの臨床試験において示されている。また、エクリズマブを長期投与(最長8年)した結果、成人PNH患者の生存率を、年齢および性別を適合させた健常者と同程度まで改善することも報告されている。しかしながら、成人PNHと同様の臨床的所見や合併症が発現するにもかかわらず、主に患者数が少ないという理由から、小児・青年期のPNH患者を対象とした臨床試験は行われてこなかった。本試験では、小児・青年期のPNH患者におけるエクリズマブの体内動態(PK)/溶血抑制活性(PD)、安全性および有効性を評価した。

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