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学会レポート 世界各国の学会で発表された医療情報を掲載しています。

海外[ASCO 2015] 2015年米国癌治療学会議

2015年5月29日~6月2日 Chicago

HER2陽性で転移のある乳がん患者に対する初回治療の比較:T-DM1またはT-DM1+ペルツズマブ vs. トラスツズマブ+タキサン系抗がん剤

T-DM1またはT-DM1+ペルツズマブの効果は、トラスツズマブ+タキサン系抗がん剤の効果に劣っていないが、優れてもいない。

トラスツズマブ+タキサン系抗がん剤は、HER2陽性で転移のある乳がん患者の標準治療であるが、近年開発されたT-DM1(トラスツズマブ エムタンシン)は、そのトラスツズマブ+タキサン系薬剤での治療歴がある患者に効果があることが分かっている。また、T-DM1は第II相の臨床試験で、トラスツズマブ+タキサン系薬剤での治療歴がない患者にも効果を示した。さらに、トラスツズマブと同様にHER2陽性患者に効果を発揮するペルツズマブをT-DM1と併用すると効果が増強することが基礎実験で確かめられていた。

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HER2陽性の早期乳がん患者に対するネラチニブの効果:第III相臨床試験ExteNETの初めての解析結果

術後に化学療法+トラスツズマブ治療を行ったHER2陽性の早期乳がん患者にネラチニブを投与すると、浸潤性疾患のない生存率が改善する。

HER2陽性の早期乳がん患者においては、術後に化学療法+トラスツズマブ治療を行うメリットが認められている。しかし、トラスツズマブを使用してもなお、23~26%くらいの患者は乳がんが再発する。現時点においては、通常12カ月のトラスツズマブの投与を24カ月まで延長したとしても、その延長効果は認められていない。一方、ネラチニブは、トラスツズマブと同様にHER2受容体を標的とした分子標的治療薬であるが、第II相の臨床試験でトラスツズマブでの治療歴がある患者にも、ある程度の効果を示す結果が得られていた。

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局所再発または転移のある乳がん患者に対する治療法の比較:エチリノテカンペゴル vs. 医師が選択した治療薬(第III相臨床試験BEACONの結果)

アンスラサイクリン、タキサン、カペシタビンでの治療歴がある局所再発または転移のある乳がん患者にエチリノテカンペゴルで治療を行うと、医師が選択した治療薬と比較して、全生存期間が改善する傾向にある。

進行乳がん患者にとって化学療法は主要な治療法の一つであるが、アンスラサイクリン、タキサン、カペシタビンによる治療を受けたあとのさらなる治療選択肢が求められている。エチリノテカンペゴルは、イリノテカンよりも効果が持続する新たなトポイソメラーゼI阻害薬で、脳転移のマウスモデルを用いた実験では、イリノテカンよりも良好な延命効果を示した。

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外科療法は低グレードの非浸潤性乳管がん(DCIS)に対して延命効果をもたらすか?:コホート研究の結果

外科療法が低グレードのDCISに対してもたらす延命効果は、中グレードや高グレードのDCISに比べてはるかに小さい。

近年の乳がんスクリーニングの普及に伴って、非浸潤性乳管がん(DCIS)と診断される患者の数は増えており、米国では2015年におよそ60,000人がDCISと診断される見込みである。DCISはその悪性度によって、低グレード(悪性度)・中グレード・高グレードの3つに分けられ、低グレードの場合その40~85%は浸潤がんにならないというデータもある。一方、高グレードは局所再発の危険因子とされており、また、グレードのいかんによらずDCISに対しては外科療法(手術)を行うのが標準治療となっている。

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術前化学療法を行った乳がん患者に対する術後放射線療法

術前化学療法を行った乳がん患者では、術後放射線療法が局所・近傍リンパ節再発の独立した予測因子となる。

術前の化学療法が奏効するかどうかは、重要な予後予測因子で、局所や近傍のリンパ節にがんが再発するリスクと相関しているとされている。また、いくつかの研究では、術前化学療法が奏効した乳がん患者では、乳房切除後の放射線療法を行うメリットはないかもしれないという結果が出ており、術前化学療法を行った乳がん患者に対する術後放射線療法の必要性は議論のあるトピックとなっている。

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閉経後の非浸潤性乳管がん(DCIS)患者に対するアナストロゾール vs. タモキシフェン

アナストロゾールは閉経後で60歳未満のDCIS患者の術後補助療法として、タモキシフェンよりも乳がん無発症期間を延長する効果がある。

非浸潤性乳管がん(DCIS)の標準的な治療方法は、腫瘤摘出術(乳房部分切除)+放射線療法で、一般的に予後は良好であるが、再発する可能性もあり、再発予防のために術後補助療法としてタモキシフェンを服用することがある。タモキシフェンは浸潤がん・非浸潤がんの再発や対側乳がんの発症を減らす有用な薬剤であるが、子宮体がんや血栓塞栓症を増やすリスクがあり、新たな選択肢が求められている。

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