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学会レポート 世界各国の学会で発表された医療情報を掲載しています。

海外[AES 2017]第71回米国てんかん学会

2017年12月1日~5日 ワシントンD.C.(アメリカ合衆国)

小児の睡眠とてんかん発作(December 1)
Sleep & Epilepsy in Children

Sanjeev V. Kothare(Hofstra Northwell School of Medicine, New York, USA)

睡眠関連てんかん発作の原因

 睡眠関連てんかん発作 の発生には、様々な要因が関与している。 その1つが、てんかん発作を抑制するアデノシンの濃度が入眠時に低下することと考えられている。 また、断片的な睡眠や、脳波検査でcyclical alternating patternが観察される不安定な睡眠も原因となる。 これに関連して、最近、昼夜を問わず強い眠気に襲われるナルコレプシーを併発する、若年性ミオクロニーてんかん(JME)患者に関する研究を報告した1)。 いずれの患者も、DQB1*0602遺伝子に変異があり、JMEの原因遺伝子として知られるEHFC1遺伝子の近位に位置することから、2つの疾患の遺伝学的相関性が示唆される。

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SUDEPと睡眠:臨床エビデンスからの考察(December 2)
SUDEP& Sleep: What’s the clinical evidence?

Roland D. Thijs (Stichting Epilepsie Instellingen Nederland/Leiden University Medical Centre, the Netherlands)

SUDEPと睡眠は強い関連がある

Aliらのメタ解析 によって、てんかんの突然死( SUDEP)と睡眠の強い関連が示されている1)。 その要因として、通常は経済的要因と合併する危険因子が挙げられるが、今回は夜間発作、環境要因、てんかんの病因部位、てんかんの重症度の4つの観点から検討を行った。

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小児における脳磁図(MEG)記録:てんかんの術前検査の役割(December 2)
Magnetoencephalographic recordings in infants

Stephanie Garcia-Tarodo(Health Science Center at Houston, The University of Texas, Houston, USA)

手術は小児てんかんの有効な治療法である

小児 のてんかんは、30%が薬剤抵抗性を示し、知能発達に大きな影響を及ぼすこともある。 薬剤抵抗性てんかん(DRE)の小児に対する早期手術は、発作による脳機能低下を防ぐことができ、手術合併症として機能障害が生じたとしても、脳の可塑性による回復が期待できる。 18歳以下のDRE患者116例を対象とした単施設ランダム化比較試験では、治療開始後12ヵ月時点での無発作達成率は、薬物治療群で7%であったのに対し、手術+薬物治療群では77%と有意に高く(p<0.001、Z検定)、小児に対するてんかん手術の有効性が示唆された1)。 しかしながら、小児てんかんは症候が曖昧で、脳波(EEG)による病態診断も難しいといった理由から、現在、手術を受ける小児てんかん患者は全体の1%程度にとどまっている。

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てんかんとアルツハイマー病:類似したメカニズムと治療機会(December 2)
Epilepsy and Alzheimer’s Disease: Overlapping Mechanisms and Therapeutic Opportunities

Lennart Mucke(Gladstone Institute of Neurological Disease, University of California, San Francisco, California, USA)

てんかんとアルツハイマー病の脳では、類似した症状が観察される

アルツハイマー病(AD)は認知機能障害を伴う進行性の神経変性疾患で、疾患の発生メカニズムでは多くの要因が関与している。 その全貌は未解明だが、最近の研究により、ADとてんかんに類似したメカニズムが存在することがわかってきた。
 これらの疾患のモデルマウスでは、いずれも神経細胞に発現するカルシウム結合タンパク質であるカルビンジンの発現が低下する1)。 また、ADのモデルマウスでは、神経ペプチドYの異所性発現、苔状繊維経路での顆粒細胞の軸索伸長、さらに、神経ペプチドY性ニューロンおよびGABA性ニューロンから細胞外マトリックスへの軸索伸長が発生していることが報告されている2)。これらはいずれも、ADの脳で、てんかんと同様の神経ネットワーク障害が発生していることを示唆するものである。

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てんかんとうつ症状:適切な治療のためにすべてのてんかん専門医が知るべきこと(December 4)
Depression in Epilepsy: Ten “pearls” that every epileptologist must know to properly treat patients with epilepsy.

Andres M. Kanner (Comprehensive Epilepsy Center, University of Miami, Miller School of Medicine, Miami, Florida, USA)

てんかんとうつ症状の相互関係

 てんかん患者の多くはうつ症状を、その逆も多いこは、ヒポクラテスの時代からよく知られている。  1,000万例を対象にした英国の観察研究1)によると、てんかん患者のうつ症状のリスクは、対照群に比べて有意に高い(ハザード比:2.04[95%CI, 1.97-2.09]; p<0.001、Cox比例ハザード回帰分析)。 また逆に、うつ症状は、てんかん発症リスクを有意に増加させる(ハザード比:2.55, [95%CI, 2.49-2.60]; p<0.001、Cox比例ハザード回帰分析)。 さらに、てんかん患者の無発作状態を1年間達成できない割合は、うつ症状を持つ例で有意に高かった。

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