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学会レポート 世界各国の学会で発表された医療情報を掲載しています。

国内[JSDT2012]日本透析医学会

2012年6月22日~24日 札幌

鉄剤投与量の多い維持透析患者は脳/心血管系イベントの発生リスクが高い

倉賀野 隆裕 氏
兵庫医科大学 腎透析科

兵庫医科大学の倉賀野隆裕氏は、維持透析患者1,095名を対象としたTRAP Studyの成績から、ヘモグロビン(Hb)濃度、血清フェリチン濃度、赤血球造血刺激因子製剤(ESA)および鉄剤使用状況と、脳/心血管系イベントや感染症などの発生リスクとの関連を検討した成績を報告した。
本検討の対象となったのは、登録患者1,095名中902名で、観察期間は2年間である。解析は時間依存型比例ハザードモデルを用いて実施した。

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貧血を伴うCKD患者では脳委縮予防および脳機能保持のためにも積極的な貧血治療が重要

鶴屋 和彦 氏
九州大学 包括的腎不全治療学

九州大学の鶴屋和彦氏は、赤血球造血刺激因子製剤(ESA)による腎性貧血改善の脳機能保護に及ぼす影響、および保存期慢性腎臓病患者(CKD)におけるヘモグロビン(Hb)濃度と脳容積の関係について検討した成績を報告した。

ESA投与によりヘマトクリット(Ht)値が上昇するとP300で測定した高次脳機能が改善し、エリスロポエチン(EPO)製剤投与でHtが上昇すると脳代謝率が改善したことが報告されている。そこで、脳梗塞モデルを用いて、EPOおよび造血作用をもたないカルバミル化エリスロポエチン(CEPO)の脳保護作用(梗塞減少効果)を検討した。

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ESAは心筋リモデリングに直接的に影響を及ぼす可能性がある

林 晃正 氏
大阪府立急性期・総合医療センター 腎臓・高血圧内科

大阪府立急性期・総合医療センターの林晃正氏は、心保護作用からみた貧血治療の有用性について解説した。

慢性腎臓病(CKD)は心血管疾患(CVD)の危険因子であることが知られているが、腎性貧血も同様にCVDの危険因子であり、心不全の増悪因子としても重要である。

心不全の発症には心筋リモデリングが関与しているが、貧血があると心拍出量が増加し、左室肥大が形成される。しかし、腎機能障害がなければ腎臓から内因性エリスロポエチン(EPO)が産生され、間質線維化やアポトーシスの抑制、血管新生の促進などの作用を示し、左室機能は維持される。一方、CKD患者では内因性EPOの産生が低下しているため、肥大心は不全心に進展すると考えられている。

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