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がん生存者のための食事と運動に関する新ガイドライン

2012年5月10日

「がん生存者」とは、「がんと診断された患者で、診断時点から残りの生涯を通じて、生存している患者」を指し、米国発祥の新しい生存の概念であるが、2007年には米国のがん生存者数は約1,200万人に達し、米国民の約25人に1人が該当する。さらには、米国でがんと診断された患者の約68%が5年以上生存している。このように、がん生存者の診断後の生存期間が延びたことで、再発やその他のがんの発症、慢性疾患などの予防が重要になってきたことから、米国がん学会(American Cancer Society: ACS)は「がん生存者の栄養と運動に関するガイドライン」を公表した(CA Cancer J Clin. 2012 April 26. [Epub ahead of print])。

内容は、体重管理や健康的な食事、運動を取り入れた生活習慣を最優先の課題とし、最新のエビデンスに基づくガイドラインとして医療関係者向けに作成したものとなっている。がん生存者の多くは、治療効果を高めたり、再発を防いだり、生活の質を高めたりするのに役立つ食事や運動などの情報を求めているが、情報源となる書籍やインターネットなどの内容は、残念ながら玉石混交であり、必ずしも信頼できる情報とは限らない。

しかし今回、作成されたガイドラインでは、さまざまながん生存者に対する食事、運動に関する推奨事項が記載されており、栄養や運動に関する科学的知見がまとめられたものとなっている。一般的には、飽和脂肪が少なく、果物、野菜、全粒、蛋白質が多い食事と、少なくとも1週間に150分の中等度の有酸素運動もしくは1週間に75分の活発な有酸素運動が推奨されている。また、本ガイドラインにはアルコール、抗酸化物質、脂肪、サプリメントなどに関するQ & Aも掲載されており、医療関係者が患者にアドバイスする際の有益な情報源としての活用が期待される。

医学ライター・喜多さくら

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