ホジキンリンパ腫患者に対する地固め放射線療法
2011年10月17日
「Stage IIIホジキンリンパ腫患者に対する地固め放射線療法の効果を検証した論文が発表された(Am J Clin Oncol. 2011; 34(5): 499-505)。著者らは、米国MDアンダーソンがんセンターで1993年から2006年の間にstage IIIホジキンリンパ腫と診断され、ABVD療法(ドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジン)を行った118例の患者をレトロスペクティブに解析している。118例中104例(88%)で完全寛解(CR)が得られ(追跡期間中央値68カ月)、その104例中71例(68%)がABVD療法を6サイクル以上行い、40例(38.5%)が地固め放射線療法を受けていた。
放射線療法の有無で5年全生存率(OS)、10年OS、15年OSを比較したところ、放射線療法ありの群ではそれぞれ98%、80%、80%であったのに対し、なしの群ではそれぞれ91%、72%、29%であった(p=0.08)。また、無病生存率(DFS)はそれぞれ94%、81%、65% vs. 78%、45%、15%であった(p=0.04)。多変量解析では、初発の縦隔病変(p=0.001)、bulkyな頭頸部病変(p=0.001)がDFS不良と相関していた。一方、縦隔に対する放射線療法はDFS(p=0.003)、OS(p=0.029)の改善と相関し、6サイクル以上のABVD療法はOSの改善と相関していた(p=0.001)。また、再発パターンの解析から、ほとんどの再発(28例中23例)が横隔膜の上部で起こっていた。
以上の結果から、CR後の地固め放射線療法は初発病変が横隔膜の上部にある患者にベネフィットをもたらす可能性が示唆された。一方、著者らは、初発病変が横隔膜の下部にある患者の場合は、化学療法のみで十分に管理可能ではないかと結論づけた。
医学ライター・田村敏彦


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