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第55回日本リウマチ学会総会・学術集会
第20回国際リウマチシンポジウム
The 55th Annual General Assembly and Scientific Meeting of the Japan College of Rheumatology
The 20th International Rheumatology Symposium

会場 神戸ポートピアホテル / 神戸国際会議場 / 神戸国際展示場
日時 2011年7月17(日)〜20(水)

Workshop 2 トシリズマブ2:W2-3

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Workshop 2 トシリズマブ2:W2-3

関節リウマチ(RA)におけるトシリズマブ(TCZ)療法による脂質代謝への影響
演者: 花見 健太郎 先生
所属: 産業医科大学医学部 第1内科学講座
トシリズマブ投与によって脂質マーカーが上昇することが知られているが、STREAM試験などの長期アウトカムでも、心血管イベントの頻度上昇は報告されていない。一方、花見氏らは、脂肪細胞において、抗腫瘍壊死因子(TNF)と拮抗的に転写調節され抗動脈硬化作用を有するアディポサイトカインである高分子アディポネクチン(HMW-AN)が、TNF阻害薬の使用で誘導されることを報告している。今回は、トシリズマブの脂質代謝への影響を、特に高分子アディポネクチンを中心に検討した結果を紹介した。
トシリズマブが、抗動脈硬化作用を有する高分子アディポネクチンを上昇させる可能性を示唆

日本リウマチ学会(JCR)ガイドラインに準じてトシリズマブを導入した関節リウマチ(RA)患者72例について、メトトレキサート(MTX)治療群22例を対照として、トシリズマブ投与開始前と24週の疾患活動性、各バイオマーカーを測定し、比較検討した。主要評価項目はHMW-AN変化率とした。両群のベースラインにおける患者背景については、年齢、DAS28ほか、HMW-AN、総コレステロール(TC)、HDLコレステロール(HDL-C)、LDLコレステロール(LDL-C)、BMIなどを含め有意差は認められなかった。

24週のトシリズマブ投与群のDAS28は、5.72±1.17から3.01±1.10へと顕著に低下した(Wilcoxson検定 p=0.001)。HDL-C、LDL-Cは、トシリズマブ投与24週に有意に増加したが、TCおよびLDL-Cから算出される動脈硬化指数は2.28から2.12と正常範囲で変動せず、これらの変化率はMTX対照群と差を認めなかった。一方、HMW-ANは、MTX対照群では上昇したものの有意差が認められなかったが、トシリズマブ投与群では10.4から24週に13.0(Wilcoxson検定 p=0.026)と、有意な上昇を示した。対象をTNF阻害薬の使用歴、MTX併用の有無、ステロイド併用の有無に分けてHMW-AN変化率を比較検討したところ、これらの影響は認められなかった。また、HMW-AN変化率とDAS28改善率との関係を検討したが、相関は認められなかった。なお、TNF阻害療法からスイッチした症例において、トシリズマブ導入後にHMW-ANが上昇する傾向がみられた。HMW-AN変化率に影響を与える背景因子を重回帰分析にて検討したが、特に認められる因子はなかった。

以上の結果から花見氏は、IL-6を阻害するトシリズマブは、疾患活動性の制御のみならず、TNF阻害とは異なる機序で直接または間接的に脂肪細胞におけるアディポネクチンの転写制御にかかわる可能性があるとし、動脈硬化を制御するといわれる血清HMW-AN値を増加させる形で脂質代謝に関与すると考えられると述べた。
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